これから先はラッダイト運動さえも阻止する社会に!? Davos2024, WGS2024, ID Week2024

★3点要約★
1) 産業革命とラッダイト運動の歴史
2) 次なるラッダイト運動とそれを防ぐデジタル化社会、デジタルID
3) 世界で進むデジタル化社会に向けたイベント
世界のデジタル投資 2024.01.21
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 今回はこれまでの産業革命をふりかえりつつ、これから起こる第4次産業革命はどのようなものか、そして2024年に世界的リーダーたちが集うイベントの動向をみてみます。

 「時代に適応する」「時代を乗りこなす」「時代に逆らう」「ただ流れる」など、どう立ち振る舞うかも人それぞれです。

 このニュースレターの読者の皆様は、セキュリティトークンやネイティブトークンのキャピタルゲインやインカムゲイン獲得を目指しながら、将来への期待、または利益以外の面で不安を抱いているのではないかと思います。

 当ニュースレターでは、デジタルなお金・デジタル化社会という言葉を多用していますが、それが良いことなのか・悪いことなのか、考え方はそれぞれだと思います。今回の記事を通して、再び考えてみる機会になればと思います。

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ラッダイト運動、次なるネオ・ラッダイト運動

 ラッダイト運動とは、時代ごとにおこる技術・文明の発展の中で、労働者たちの働き口が機械に置き換えられていき、効率化の反面、一部の労働者にとって不利益となる影の側面もあり、それに起因しておこる打ち壊し運動「ラッダイト運動」である。

これまで、そしてこれからの「産業革命」は以下のようなものである。

[第1次産業革命]
→18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化

[第2次産業革命]
→20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産

[第3次産業革命]
→1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化

[第4次産業革命]
→ あらゆるモノがつながるIoT、AI、量子コンピュータ等によるさらなる機械化・自動化・効率化の潮流

・技術革新による機械導入が高賃金の熟練労働者の失業と、不熟練の労働者の酷使や深夜までの労働等の労働環境の悪化を生んだと考えた労働者たちは、機械や工場建築物を打ち壊す行動に出ました。

・ラッダイト運動は単なる「打ち壊し」運動ではなく、労働環境の改善を求める労働者と経営者の集団交渉の形態の一つであったと言えます。

英国はこのような行動に対して最高刑を死刑とする法律を制定しましたが、ラッダイト運動は民衆の支持を受けていたため、打ち壊しは止められず、1811年から1817年の長期間にわたって続き、打ち壊しにより工場や機械破損の被害や、多数の死傷者や逮捕者が出る結果となりました。

 ラッダイト運動は「過去の話」ではない。これから第4次産業革命に向かっていく中で、「次なるラッダイト運動」の兆候もでており、それを「ネオ・ラッダイト運動」という動きもある。

・時代は変わり現代において、ICT等の進化によって、人の手を介さずに様々なサービスを受けられる時代が到来しています。

・多くの人手で実施されていた仕事がICT等により自動化されることで、個人の雇用機会が次第に奪われるのではないかという懸念から、開発を阻止したり、サービスの利用を控えるという考え方があり、ラッダイト運動になぞらえて「ネオ・ラッダイト」と呼ばれることがあります。

 英語では「Neo Luddism」といわれており、ネット検索すると以下のような画像が見つかる。このような画像をみれば、デジタル化の負の側面をイメージしやすい

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ラッダイト運動により困るのは誰か

 上記のような、効率化を邪魔する労働者、経済発展を邪魔する労働者が多くなって困るのは、その会社の社長や管理職、そして株主たち(資本家)である。

 そして労働者たちによる打ち壊し運動や企業運営阻止が大きくなりすぎると、周辺の市民生活や物流にも影響がひろがる。(市民の多くがラッダイト運動に賛同している状況であれば、市民もラッダイト運動に対する不満は生まれないかもしれないが)

 さらに、ラッダイト運動が起こることで都合が悪いのは、「企業単位」「地域単位」の話だけではない

 世界的組織・グローバルリーダーたちにとっても、「これから進む社会の動き」がラッダイト運動により邪魔されては困るのである。

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自ら会社や金融の奴隷となる私たち

 資本主義社会が発展し、富の差はあれど、大衆の生活は昔よりも便利で安定したものとなっている。労働・働き方に対する考え方も、単なる「生活資金を稼ぐための労働」だけではなく、「働きがい」や「意義」「周囲との協力」といった、「仕事を通して人生を充実させる」という見方も主流となってきた

 だが、これまでの産業革命とラッダイト運動(打ち壊し運動)の歴史を俯瞰し、資本家・株主および経営者目線でシンプルにいえば「労働者のお手本」とは、「従順で反逆信をおこさない労働者」となる。そのために労働者・社員に対して、高い給料や優遇、働きがいを提供することで労働者離れを引き留めたり、新たな労働者を集めている。

 下図の書籍の紹介文にも端的に記されている。

 資本主義が労働と市場を通して、やりがいや自己実現の機会を与えることによって、人々は喜んで会社や金融の奴隷となっている。

 「お金」が誕生し、資本主義社会が現代ほどに回るようになり、お金を稼ぐために多くの人々は「会社や金融の奴隷」になっている、とも言える。たとえ会社や組織の上司、管理職が良い人・優しい人だとしても、構造的にとらえれば「会社や金融の奴隷」となってしまうのである

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私たちはお金から完全に離れて暮らすことはとても難しい

 2022年10月の記事で配信した内容を一部再掲する。現代の生活において「お金」は切っても切れないものとなった。そしてこれからは「インターネット」や「デジタル」といったものまでも、生活からは切っても切れないものとなっていく

  • 食材や日用品の購入、通勤・通学、医療費など私たちの生活には「お金」という価値交換手段がある程度必要である(むしろお金がないと生活が成り立たない面ばかり)

  • 一方で、お金がなくても手に入れられる食材や資源、コミュニティとのつながり、趣味などもある

  • これから2025年や2030年に向けて、国際決済銀行や各国の中央銀行、グローバル企業、世界的な規格などの動向・計画を調べると、「デジタルなお金」(キャッシュレス社会)に進むのは既定路線であると思わざるを得ない

  • そして、私たちはその大きな動きを止めることも、逆らうことも、抜け出すことも、とても難しい

  • 「デジタルなお金」の社会となった時、もちろん利便性は向上するだろうが購買行動や趣味趣向がこれまで以上にデータでつながっていくこととなる

  • 「デジタルなお金」になっていくことで、今できている「お金がなくてもできること」の範囲が狭まっていく懸念もある。(ある行動、ルールに従わない者はデジタルなお金が入ってこない、使えないという懸念)

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これから生まれる機械の奴隷、デジタル奴隷

 そしてこれからデジタル化がますます進むことにより、「デジタル奴隷」というキーワードを用いて警笛を鳴らす動きもある。

 いま社会が進んでいるデジタル化の方向をキーワードで並べてみれば、「デジタル革命の負の側面」をイメージできるだろう。

・全人間へのデジタルID
・現金を廃止しCBDCに (中央銀行デジタル通貨)
・犯罪を減らすために監視カメラの増大
・インターネット網は地上だけでなく宇宙に構築(Starlink)
・AIの市場解放開始 (ChatGPTなどが目に見えて活用され始めた)
・スーパーコンピュータ、量子コンピュータの進化・利活用

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現代の奴隷被害者は5,000万人?いや数十億人という見方も

 1919年に、ベルサイユ条約によって国際連盟とともに誕生したのが「国際労働機関(ILO)」という組織である。そのILOのレポートをみれば現代奴隷制の概要がわかる。

・現代奴隷制は、社会正義や持続可能な開発と対極の存在である。

・2021 年世界推計では、任意の 1 日をとってみた場合、5,000 万人が現代奴隷制の被害者であり、意思に反して労働や結婚を強制されていることを示している。

・つまり、世界全体でほぼ 150 人に 1 人ということである。この推計はまた、現代奴隷制が決して一時的なものではないことを示している。

・2021 年世界推計を見ると、2017 年に前回の推計が公表されて以降、さらに数多くの男性、女性、そして子どもが労働や結婚を強いられている。

 このような「現代奴隷」に関する記述をみれば、「世界には5000万人も現代奴隷がいるのか...」と思うのが一般的である。

 だが上述の通り、実は5,000万人どころではなく、数十億人が「現代の資本主義社会の奴隷」ともとらえられる

 自分たちよりもひどい仕打ちを受けている「現代奴隷の人々」がいることにフォーカスすることで、「まさか自分もある意味奴隷だな」と気付けなくなっている

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「株式」という言葉で隠されている、「資本主義社会の奴隷」

 ここでYoutubeの動画チャンネルを紹介する。株式とは何か、株式がどのような変遷で生まれたのかをわかりやすく、ストーリー仕立てで紹介してある。

 これらの動画もあわせて見ることで、現代の資本主義社会や株式市場がなんたるかを、違った目線でとらえることができる

 とくに2つ目の動画「なぜ我々は過酷な労働をしなければならないのか?」は何かの投資をしている人も、投資をしておらず労働・仕事だけをしている人も一度見ておいて損はない。「株」という言葉が隠れ蓑(かくれみの)として使われていることがわかるだろう。

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 以上長くなったが、産業革命とラッダイト運動、ネオラッダイト運動、現代の奴隷、資本主義社会の奴隷について記述した。

 この下からは、ラッダイト運動が起きては困る側の「世界的組織・グローバルリーダーたち」が催すイベントについて触れていく。これをみれば「デジタル化社会・デジタルなお金」に向けて急速に世界が動いている姿がお分かりになるだろう。

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