NasdaqにSPAC上場する企業はどこか? Republic社による特別買収目的会社(SPAC)が設立される。2年以内に買収企業を選定
読者の皆様、いつもニュースレターをご覧頂きありがとうございます。
3月31日にXで pasomeさんが投稿されていた内容をみて、Republic社がSPACの設立を進めていることを知りました。
今回はそのSPAC上場の概要や私なりに調べた内容を共有します。
SPACとは
SPAC(スパック)とは、Special Purpose Acquisition Company (特別買収目的会社)の略で、未上場企業の買収を目的として設立される企業のことです。
SPAC企業自身では事業を行わないため、「白紙小切手会社」や「ブランク・チェック・カンパニー」「空箱」とも呼ばれます。
SPAC上場とは
SPAC上場という上場の仕方が米国で盛んに行われています。SPAC上場は大まかに以下のステップで行われます。
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スポンサーと呼ばれる代表者(設立者)がSPACを設立し、上場させる。
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その後、特定の企業を買収して逆さ合併を行い、買収した未上場企業を実質的に上場させる。
SPAC上場のポイントは、上場時の審査が少なく、上場までの時間やコストを大幅に削減できることです。このことから、企業が上場を検討する際にSPACの活用を選ぶケースが急増しています。
下図は経済産業省資料からの引用です。SPAC上場は以下のような時間軸で行われます。
●SPACの設立とSPACのIPO (通常2カ月以上)
SPACは、初期投資者(スポンサー)の資金によって設立され、一定期間に不特定の1社以上の非公開会社(ターゲット企業)を買収する目的で設立される。SPACは買収のために新規株式公開(IPO)を通じた資金調達を行い、取引所に上場を申請し、上場会社となる。
●ターゲット企業の選定 (通常19カ月以下)
基本的にターゲット企業の選定および買収完了までは18~24カ月の期間が定められることが多い。ターゲット企業の選定後、所定期間に買収取引を完了させる目標に向けて、デュー・ディリジェンスを実施し、ターゲット企業と合併契約についての交渉が行われる。
● De-SPAC (通常5カ月以下)
SPACは所定期間にターゲット企業の買収取引を行う、「De-SPAC」という手順を完了させる。買収後、ターゲット企業は公開企業(または公開企業の子会社)になる。SPACが期間中にターゲット企業を選定できない、あるいは合併が成立しなかった場合にはSPACは清算され、SPACのIPOで集められた資金は投資家に払い戻される。
● PIPEs (Private Investment in Public Equities、上場企業の私募増資の引受け)
PIPEsとは、SPACが私募でDe-SPAC買収取引用の資金を調達することを指す。実務上、De-SPACのターゲット企業の選定後、De-SPACプロセスが正式に始まる前に、PIPEsという取引を実施することが多い。投資家が償還権を積極的に行使する場合、SPACはIPOから調達した資金(後日De-SPACにおける買収対価に充当)を投資家に償還することによりDe-SPACにおいて買収対価の支払いに使用可能な資金に対する不確実性があり、このような不確実性を踏まえてDe-SPACに使用する資金が不足する懸念を緩和することがPIPEsを実施する主な理由である。
米国のSPAC上場件数は下図のように増加傾向となっています。
その他、SPACに関する情報は以下がわかりやすくて参考になります。
有名企業のSPAC上場事例
● Grab (シンガポール)
Grabはシンガポールに拠点を置くスーパーアプリ提供企業で、配車から金融などカスタマーサービスを提供しています。ソフトバンクビジョンファンドなどから100US億ドルを調達し、SPACの買収・合併相手はAltimeter Growth Corpを選択。Nasdaqに上場し、シンガポール企業が米国の株式上場のハードルをクリアしました。
●Virgin Galactic (アメリカ)
ヴァージン・ギャラクティック (Virgin Galactic)は軌道下飛行による民間宇宙旅行の企画・販売、商用宇宙船開発などに取り組む宇宙旅行ビジネス会社です。世界60ヵ国から600人を超える事前予約があるほど人気を得ています。2019年10月に約10億USドルのSPAC取引により、Social Capital Hedosophiに買収され、合併を経て、ニューヨーク証券取引所に上場を果たしました。上場初日は8ドルで終わりましたが、一時は60ドルを超える株価を記録しています。
以上で、SPACとは・SPAC上場とは、の概要説明を終わります。
ここからはRepublic社がどんな企業をSPAC上場させるのか!?について見ていきたいと思います。
Republic Digital Acquisition Co. (RDAG)とは (特別買収目的会社)
米国SECへの提出資料を見ていきます。
下図の通り、「Republic Digital Acquisition Co. (RDAG)」に関して、2025年2月28日に、Form S-1が提出されています。
Form S-1とは、SPACのIPO上場申請時に、SPACが非公開でSECに登録届出書を提出する必要がある書類フォーマットです。
SPACの上場申請書類S-1の提出後、SECの審査コメントにより上場申請書類を修正しつつ、スポンサーは引受証券会社を正式に選任し、SPACが証券会社と「Underwriting Agreements」という引受契約を締結して、株式の発行および取引に関する事項を約定します。
SPACは、最終的にSECの承認を得た時点で、速やかにS-1を公的に開示して、IPOによる上場を果たす流れとなります。
また「SPAC Research」というサイトで検索したところ、
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