Energy Webを共同で立上げた、非営利団体RMIとブロックチェーン開発企業Grid Singularityが描く社会。EWTの将来性
1) RMIが10年以上前から描いている社会像
2) Grid Singularityが実現するスマートグリッド電力市場
3) Energy Webを支えるノードワーカー市場; Energy Web X
★ひと言★
電気なしでは生きづらい現代。今後の電力市場はどうなっていくのか。
読者のみなさま、いつもニュースレターをお読み頂きありがとうございます。
前回12/14に配信した以下の記事では、持続可能な航空機燃料SAFの普及を支援するEnergy Web(EWT)について触れました。
今回は、そのEnergy Webを2017年に共同で立上げた、非営利団体RMIと、ブロックチェーン開発企業Grid Singularityについて調べてみました。
この2つの組織が描いている社会像や計画をみれば、私たちの生活に欠かせない電力利用や自動車移動がこれからどう変わり得るのか、その一端を垣間見ることができるでしょう。
そしてそのような生活に密着した実用的ユースケースを支えるネットワークインフラとしてのEnergy Web(EWTトークン)の将来性を考える機会になると思います。
最近はアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)も価格上昇するものが目立っており、EWTも大きな上昇がありました。
ここ1ヶ月のチャート
このEWTトークンの価格変動を「発行時以降全ての期間」で表示すると以下のような状態です。この$2.8相当のEWTトークンは落ち目トークンなのか、将来価格上昇していくトークンなのか、考える機会になると思います。
1. 非営利団体RMIとは
RMI (Rocky Mountain Institute) は、エネルギー政策アナリストのエイモリー・ロビンズ氏によって1982年に設立された米国の組織。 エネルギーと資源効率のための収益性の高いイノベーションに重点をおき、持続可能性の分野での研究・コンサルティングを事業の中心としている。600名を超える従業員と、1億2,000万ドル以上の年間予算をも持つ。
ロビンズ氏は「ソフトエネルギーパス」、「ネガワット市場」という用語を提唱している。
ソフトエネルギーパス
化石燃料と核燃料に基づく集中型エネルギーシステムが、エネルギー効率の高い再生可能エネルギー源に置き換わる代替未来を表す用語。
ネガワット市場
ネガワットが意味するのは、供給能力を増やすための投資ではなく、電力消費量を減らすための投資を普及させること。ネガワットへの投資を新しい発電所の代替として検討し、コストと環境への懸念を比較することが可能となる。
2つ目のネガワット市場の普及には実現が難しい面もある。現在、「節約されたエネルギー量」をネガワット単位で正確に測定する方法はなく、それは、消費者のエネルギー使用履歴に基づいて理論的にのみ決定できるとされている。
この節約したエネルギー使用量をスマートメーターで視覚化しないと、消費者は節約されたエネルギー量の正確な値を確認できないため、ネガワットを概念化し普及させることは難しい。
スマートメーターやグリッドシステム(電力系統)、またはエネルギー ダッシュボードとして、消費者が使用および節約するエネルギー量を測定するために使用されるテクノロジーは、消費者が理解するのに時間がかかる。
RMIの収益
世界経済フォーラム(WEF)のwebサイトにRMIの記述があり、RMIの収益は年間3,000万ドルにも達するという。
2. RMIが10年以上前から描いている社会像
下図はRMIが長年描いている、スマートガレージの全体像である。太陽光発電や風力発電で発電された電力がスマートグリッドを経て、効率よく電気自動車への給電を行う図である。
これは後述しているGrid SingularityやEnergy Web、そしてその他多くの企業も思い描く「スマートな社会」である。
このスマートな効率化された電力とモビリティ(自動車)の関係性の実現は、現実のものとなってきている。それはこのニュースレターで過去に配信した以下2つの記事を参照。
このスマートグリッドな社会を実現するには、個人のデジタルID (Digital ID)はもちろん、自動車個体ごとへのデジタルID (Vehivle ID)の付与も必要となる。