tZEROのトークン化責任者インタビューを見る。トークン化インフラの現状とは?

ウォール街における資産のトークン化やインフラ整備の現状について語られています。
世界のデジタル投資 2026.02.18
読者限定

読者の皆さま、こんにちは。

今回はtZERO社のトークン化責任者兼CISOであるクリストファー・ラッセル氏(Chris氏)へのインタビューにフォーカスして、ウォール街における資産のトークン化やインフラ整備の現状について状況をウォッチしてみたいと思います。

今回のニュースレターは以下の構成です。
・前半; インタビュー内容の注目部分を抜粋
・後半; インタビュー内容からの考察

(動画はこちら)

(ここからインタビューの抜粋↓)

LYNQプラットフォームの拡大

///インタビューより///

[03:26] どのような機関がtZEROのサービスを利用していますか? また、米国におけるクリプトへのアプローチが完全に変わった現状を踏まえた文脈で教えてください。

(Chris)現在、私たちは他のパートナーと「LYNQ」というジョイントベンチャーを組んでいます。これは財務省証券(トレジャリー)ファンドの償還を行うもので、機関投資家向けです。

しかし、機関投資家パートナーと行っていることをベースに、同様のリテール向け製品も提供できないか模索しています。

最終的には、リテールも機関投資家も誰もが参加でき、これらの私募証券にアクセスし、取引して流動性を得て、希望する資産に自由に出入りできるマルチアセット・プラットフォームを目指しています。

///

相互運用性を重視

///インタビューより///

[04:34] 相互運用性について伺いたかったのですが、非常に多くのチェーンが存在します。資産をトークン化しようとする発行体は、複数のチェーンで展開しています。tZEROはどのような形で彼らをサポートし、チェーンを選択しているのですか?

(Chris)はい、私たちは「チェーン・アグノスティック(特定のチェーンに依存しない)」でありたいと考えています。

多くのL1チェーンと話し、「何があなたのチェーンを際立たせているのか? 発行体にとっての魅力は何か?」と問いかけています。そうすることで、発行体が求める適切なユーティリティを提供できるようにしています。

チェーン自体は私たちにとってそれほど重要ではありません。可能な限りすべてのチェーンをサポートしようとしています。それぞれに長所と短所があり、どれも正当な製品が構築されています。私たちの仕事は、発行体と顧客が最終的に望むユーティリティを確実に得られるようにすることであり、そのためにどのブロックチェーンでも利用できるようにすることです。

[05:22] まさにそうですね。機関投資家からの需要増は感じていますか? すべての銀行や金融機関がトークン化やクリプト戦略を持つようになり、トークン化競争が起きているように見えます。

(Chris)はい、これが誰にとっても本当に機能するためには、私たち全員が何らかの形で相互接続される必要があるという事実に、皆が気づき始めているのだと思います。

以前は多くのサイロ(孤立した状態)や「壁に囲まれた庭(クローズドな環境)」がありました。「これは私の資産だ、これは私の顧客だ」といった具合です。しかし、それは顧客にとって本当に良かったでしょうか? 流動性にとっても、ブロックチェーンにとっても良くありませんでした。ブロックチェーンの目的は摩擦を減らすことであり、増やすことではありません。

ですから、なぜこの競争が起きているのかという理由に関わらず、相互運用性、接続性、そして壁を取り払い、顧客にとってよりシームレスにすべきだと認識することは、誰にとってもプラスになるはずです。

///

デジタルウォレット「自分のウォレットを持ってくる」

///インタビューより///

[09:33] 先ほどマルチチェーンの世界における相互運用性について話しましたが、すべてを支配する一つのチェーンは存在しないでしょう。それはウォレットについても同じでしょうか? 多くの金融機関はすでにモバイルアプリを持っており、顧客と接点があります。そこにWeb3のクリプトウォレットを統合し、顧客を教育する。顧客はすでにそのブランドに愛着を持っている。それが、数百万、数千万の人々をオンチェーンに引き込む方法ではないでしょうか。

(Chris)はい、特に自己管理(セルフカストディ)について言えば、「使い慣れた自分のウォレットを持ってくる(Bring your own wallet)」という考え方が必要だと思います。

私たちは社会として、パスワードの管理すらあまり得意ではありませんよね。それなのに秘密鍵を持たせ、さらに複数の秘密鍵を持たせようとしています。エンドユーザーにとって何が現実的かを考える必要があります。もし誰かがMetaMaskで快適なセットアップを持っているなら、私たちは彼らのいる場所へ行き、彼らが理解し使い慣れているウォレットから接続できるようにすべきです。

[10:28] それは非常に理にかなっています。今後5年間で、そのウォレットシステムやエコシステムがどのように構築されるのか、興味があります。AppleやAmazonのような大手ブランドが「私たちのアプリをすでにお使いですね、ウォレットを統合しました。これを使えますし、提携先の他の会社でも同じウォレットが使えますよ」と言うようになるのか。

(Chris)容易に想像できますね。すでに大手企業がまさにその理由でブロックチェーンに足を踏み入れようとしている兆候を目にしています。必ずしも彼らがウォレットのリーダーになりたいわけではなく、自分たちのアプリやデバイス、ハードウェアにその機能がないという状態を避けたいのです。

繰り返しますが、人々が望むものを接続し、一箇所にまとめ、別のシステムを使わなくて済むようにすることが重要です。ユーザーの採用(アダプション)の問題であり、人々をアプリや電話の中に留めておくためでもあります。

///

ステーブルコインに関する展開や需要

///インタビューより///

[11:29] 摩擦を増やしてユーザーをイライラさせたくないですからね。昨年「Genius Act」(米国でのステーブルコイン関連法案)が通過した後、ステーブルコインに関する展開や需要は増えていますか?

(Chris)もちろんです。3〜4ヶ月ほど前から、ステーブルコインの保有、運用、そして全般的な相互運用性への競争が本当に激化しています。

以前はいわゆる競合他社だったところとも電話で話しましたが、彼らも「クローズドな環境を作っても誰のためにもならなかった。お互いに門戸を開いて、皆に提供できるものを増やそう」と言っています。そうすれば全員が利益を得られますから。

[12:14] まさに。今後のロードマップはどうなっていますか? 市場構造(Market Structure)法案が今年通過しそうですが、多くの需要やさらなる普及を予想していますか?

(Chris)はい。規制当局がどの方向に向かおうとも、私たちは非常に良いポジションにいます。なぜなら、私たちは最初から、カストディのための特別目的ブローカー・ディーラー・ライセンスなど、規制に則ったルートで始めてきたからです。

もし彼らがカストディや製品作成の要件を緩和すれば、それはパートナーが増えることを意味し、「満潮はすべての船を押し上げる(rising tide lifts all ships)」ことになります。

私たちの考えでは、どちらに転んでも計画はあります。

その計画とは、マルチアセット・プラットフォームになることです。私たちがすべてを運営する必要はありません。私たちが背後にあるクリプト取引所である必要もありませんが、顧客にそれを提供し、良い体験を与えたいのです。

ですから、顧客が望むものを提供できる相手と提携します。顧客が別のプラットフォームにもう一つログインしなくて済むようにするためです。いくつかの異なるクリプトプラットフォームがあるかもしれませんが、顧客がこちらを好むならそれに対応する。これにはすべて開発が必要で、1年ですべてを実現できるわけではありません。

しかし、目標はマルチアセットであり、シームレスで摩擦のない体験を提供することです。それができれば、本当に全員が恩恵を受けると思います。

[13:27] その通りですね、Chris。tZEROの今後のアップデートを楽しみにしています。今日はありがとうございました。

///

(インタビュー内容の抜粋はここまで)

1. なぜ今、伝統的金融は「壁」を壊し始めたのか?

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続きは、1912文字あります。
  • 2. 規制準拠のフロントランナーtZEROが見据える「LYNQ」の拡張
  • 3. 構造的な転換:分断から相互接続へ
  • 4. 投資家にとってのパラダイムシフト
  • さいごに

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