TSAロックでお馴染みのTSAとIDEMIA。空の旅にはDigital IDが必須に!? 気になるIDEMIAのバイアウト先

★3点要約★
1) TSAとはアメリカ合衆国運輸保安庁
2) 2013年以来、IDEMIAはTSAへのサービスプロバイダー
3) IDEMIAと日本の関係も。

★ひと言★
「安全」の名の下にデジタル化はどんどん進む
世界のデジタル投資 2023.05.07
読者限定

今回は航空機・空の旅に関連した、デジタルアイデンティティに関するニュースレターを配信致します。

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先日以下のTweetが流れていた;

IDEMIA
@IdemiaGroup
IDEMIA has been been awarded a $128M contract to deploy @TSA’s Next Gen Credential Authentication Technology (CAT 2). 🇺🇸

CAT 2 enhances security screening + enables a touchless experience through biometric technology + digital ID acceptance👉bit.ly/3HD9tch
2023/05/04 23:31
7Retweet 25Likes
IDEMIAは TSAの次世代クレデンシャル認証テクノロジー (CAT 2) を展開する 1 億 2,800 万ドルの契約を獲得しました。 CAT 2 はセキュリティ スクリーニングを強化 + 生体認証技術 + デジタル ID の受け入れにより非接触体験を可能にします。

▼TSAとは

Transportation Security Administration (アメリカ合衆国運輸保安庁)のこと。

・アメリカ国土安全保障省の外局であり、アメリカ合衆国における公共交通機関の安全性を保つことを任務としている。

2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロに際して編成された。

「TSA」と聞くと、キャリーケースの鍵部にロゴが付いている「TSAロック」を連想する人も多いと思う。

冒頭のTSAの任務に記述あるように、
アメリカ合衆国における公共交通機関の安全性を保つことを目的としているため、空路のみならず陸上や海上の公共交通機関の安全性向上も目指している。

***

▼IDEMIAとは

フランスに本社を置く多国籍テクノロジー企業。
元々は1982年創業のMorpho Systèmes から買収や派生を経て現在のIDEMIA社となる。
現在はプライベートエクイティやバイアウトを事業とする Advent Internationalの傘下。

ID 関連のセキュリティサービスを提供し、顔認識やその他の生体認証製品およびソフトウェアを民間企業や政府に販売している。

・IDEMIAが提案する顔認識技術は、空港やスタジアムの入り口をスムーズに通過できるようにするほか、スタジアムへの立ち入りを禁止されている人々の発見、群衆の中の逃亡者の特定、または予約区域に入る人々の身元の確認にも使用されます。

・米国、アラブ首長国連邦、アルバニア、またはインドで、生体認証の登録後に各インド市民に一意の 12 桁の番号を提供することを目的とする Aadhaar プロジェクトがあります。

データ(13 億人の虹彩、指紋、肖像) により、これらの市民は銀行口座を開設したり、マイクロクレジットにアクセスしたり、社会的利益を受け取ることができます。

・IDEMIAは2020 年に世界中で 30 億の身分証明書 (パスポート、身分証明書、運転免許証など) を作成しました。

・国家および政府サービスの市場では、2030年までにすべての人にアイデンティティを与えるという国連機関の取組みに特に参加しています。

2022年の市場調査によると、Digital Identity分野において IDEMIAの立ち位置は下図のようになっている;

またIDEMIAはeSIM市場でも3番手に位置する。

[ eSIM市場については下記過去記事参照 ]

生体認証やデジタルアイデンティティ分野でシェアの大きいIDEMIA社だが、さまざまな公民権団体が、政府とIDEMIAとの契約を批判している。

研究者はまた、特にIDEMIAのアルゴリズムを含む顔認証および識別アルゴリズムが、体系的な人種的および性別的偏見を示していることも発見されている。(wikipedia)

***

▼TSAへのIDEMIAサービスの提供

2013年以来、IDEMIAはTSA PreCheck®旅行者事前審査プログラムのために、運輸保安局(TSA)の公式かつ認可された登録サービスプロバイダーとなっている

TSA PreCheck® により、空港のセキュリティスクリーニングプロセスの時間を節約したい旅行者に便益を提供している。

TSA PreCheck登録メンバーは、くつ、ノートPC、液体、ベルト、薄手のジャケットを脱ぐ必要がなく、簡単に手短かに荷物チェックのゲートを通過できる。

[以下参考まで。航空各社の紹介ページ]

さらに、TSA は2019 年以来、米国内の約 120 の空港の空港セキュリティチェックポイントでIDEMIAのクレデンシャル認証技術 (CAT) を使用している。

***

▼2023年4月、TSAとIDEMIAが追加契約完了

TSAは米国の空港セキュリティを強化するために、 1 億 2,800 万ドルの ID およびバイオメトリクススキャナー契約をIDEMIA社と締結した。

IDEMIAは TSA に次世代資格認証技術 (CAT2) システムとサポートサービスを提供する。

CAT2 システムは、
パスポートなどの旅行資格情報を評価し、所有者の顔のバイオメトリクスをドキュメントと比較し、認証結果を運輸保安官やその他の資格のある空港ユーザーに表示するために使用される統合ハードウェア。

***

▼IDEMIAと日本

米国の運輸保安局(TSA)との関係性だけみても非常に大きな市場を獲得しているIDEMIA社。そのサービス提供先は米国だけでなく世界中にも及ぶ。さらにジャンルも航空や公共交通だけでなく、CBDCや決済の業界まで幅広い。

日本においても、最近の動向で気になるものがある。

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