ヘルスケア4.0。政府も描くパーソナルヘルスレコード;PHRのプラットフォーム
1) 医療情報も中央集権化から非中央集権化へ
2) 個人の健康状態・生活状態をデータ化した「個人医療記録」(PHR)の活用
3) 日本でも進められるPHR活用社会
★ひと言★
個人医療記録(PHR)までもデータ化され流通する時代が描かれている

読者のみなさま、いつもニュースレターをお読み頂きありがとうございます。2024年1月が始まりました。このニュースレターが1月の第1報となります。
今回は「ヘルスケア4.0」「パーソナルヘルスレコード(PHR)」といった現在医療界で進められている取組みについて紹介します。そしてその業界において、どのような形でデジタル投資の機会があるのかについて紹介します。
今回の記事は、2023年12月に配信した、JennyCoの記事と関連するものです。過去記事は以下リンクから参照ください。
2025年開催予定の大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。その大阪万博の取組みの中にも「パーソナルヘルスレコード」というキーワードが多く登場します。2025年の開催に向けて、さまざまな計画・準備が進められています。
分散型台帳技術、ブロックチェーン、Web3.0、非中央集権化、といった流れが、金融やお金(CBDCやステーブルコイン)だけでなく、医療・健康という私たちの生命・生活にも無関係でないことがわかってくると思います。
1. ヘルスケア4.0 (医療4.0)とは
ヘルスケア4.0(医療4.0)をひと言でいうことは難しい(それはWeb3.0の定義がさまざまであるのと同じように)。
ヘルスケア4.0の特徴を3つあらわすと以下のようになる。
1) 個人の医療データは中央集権的な病院・製薬企業に集中するのではなく、個人に主権を取戻し分散化
2) 膨大な個人健康データ・医療データは秘匿化されつつビッグデータとして医療業界でさらなる活用を実現
3) 個人の生体記録・健康データは身体内・外のセンサにより採取され、データ化
「21世紀はデータの世紀」といわれるように、個人の身体データ・健康データまでもがデータとして採取され、デジタル資本主義社会の一部となり活用されていく。これまで以上に膨大な医療データが生成されることになる。その膨大なデータは医療機関や医療企業に集約されるのではなく、分散型台帳技術を活用して、非中央集権的なデータのあり方となっていく。
2. パーソナルヘルスレコード(個人医療記録)とは
Personal Health Recordの略でPHRとよばれ、日本語では「個人医療記録」とよばれる。
さまざまなセンサや受診記録からなるPHRには以下のようなものが挙げられる。
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健診記録、電子カルテ
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バイタル、ライフログ
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服薬状況
これからナノ技術・極小センサの開発・普及が進めばさらなる身体内の状況がデータとしてセンシングされていき、PHRとしてのデータも膨大になっていく。
下記リンクは2016年の記事であるが、極小センサ技術はすさまじい進化をとげている。
以下の記事は2018年のもの。飲み込んだ超小型カプセルにより健康診断できる技術も進められている。
パーソナルヘルスレコード(PHR)の管理アプリもすでに登場している。たとえば沢井製薬の「SaluDi」である。身の回りでこのようなアプリが利用されているシーンはまだあまり無い。しかしsuicaやpaypayのように日常生活を便利にするツールが普及したように、医療業界でもこのようなツールが普及していくのかもしれない。