「HBAR」タイムスタンプの重要さを体現する; Hedera Hashgraph
1) Blockchainとは異なる分散型台帳技術; Hashgraph
2) ビットコイン、イーサリアムを凌駕する性能
3) 他のDLTやBlockchainと相互接続し、お互いの良さを向上させる存在
★ひと言★
進展するデータ化社会において正確なタイムスタンプを付加することが求められる

▼Hedera Hashgraphとは
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Blockchainとは異なる Hashgraphと呼ばれる分散型台帳技術を使用したパブリックネットワーク。
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Google、LG、Boeing などのさまざまな業界から選出された27の主要な世界有数の組織で構成される完全に分散化されたHedera管理評議会によって管理されており、各メンバーはソフトウェアのアップグレード、ネットワークの価格設定、財務の決定等を遂行。
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この管理評議会の議事録は公開されておりURLから参照可能。
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この運営審議会メンバー各社の任期はトータル6年。永久に運営審議会になれるわけではなく、1つの任期が3年で最高2任期。これは政治業界と似ており癒着など様々なケースが考慮され任期が設定されている。
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Hederaは世界的大企業が必要とする性能や機能、ガバナンスを兼ね備えた技術を作ることに集中している。
▼ビットコイン、イーサリアムを凌駕する性能
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ビットコインネットワークは 1 秒あたり約3TPS(Transactions Per Second)で、イーサリアムは12TPSだが、Hedera Hashgraphは10,000 TPS を処理することが可能。
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さらに取引手数料においても、ビットコインやイーサリアムが約$20前後かかるのに対して、Hedera Hashgraphでは$0.0001という圧倒的低コストを実現。
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消費電力においてもビットコイン・イーサリアムよりも圧倒的な省エネルギーを実現。カーボンニュートラルが叫ばれる昨今、これからのデジタル社会インフラを支えていくのがビットコインやイーサリアムではないことは明確といえる。
▼分散型台帳技術のひとつ「Hashgraph」とは
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上図左側のようにブロックチェーンはトランザクション検証の途中でブロックが複数に分岐する事態が生じる。
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チェーンがA方向とB方向に分岐した時に、一定時間経過してみてA方向とB方向のどちらのチェーンが長く連鎖しているかを確かめて、長いチェーン方向が採用される。このような仕組みによって短い方のチェーンを破棄するため、ブロックチェーン方式にはある程度の処理時間がかかる。
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Hashgraphでは、生成されたすべてのコンテナ(イベント)が即座に使用され、破棄されることがない。
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これはブロックチェーンと比較して効率的であり、分岐が発生しないために、コンテナの生成に時間をかける必要がない。これはタイムスタンプの観点において非常に重要(後述)。
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そのため、PoW等のコンセンサスメカニズムが不要であり、コンセンサスがより単純で、高速に処理することが可能。(以下記事に図解あり)
[ブロックチェーンの分岐のイメージ図]
▼社会におけるタイムスタンプの重要性
今後益々データ化社会が進むにつれて、文書や音楽、写真、動画などのデジタル化が爆発的に増えていく。例えば以下のようなシーンでタイムスタンプが重要となる。
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監査証跡、システム・ログ
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通話履歴、記録
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刑事上の証拠、裁判記録
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写真、Eメール
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実験記録
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資金移動、株取引
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政府への申告、税金等
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オークション売買
例えば、ビットコインBlockchainではおおまかなタイムスタンプしか押すことができない。一方、Hedera Hashgraphであれば正確なタイムスタンプを付加することが可能となる。
▼HederaのネイティブToken「HBAR」
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「HBAR」はHedera Hashgraphプラットフォーム上での取引時に使われるガス代である。(ガソリン車が走行するために必要なガソリンのようなもの)
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Hederaプラットフォームの活用やトランザクション数が今後増えていきHBARの需要が増せばHBAR価格は上昇傾向となっていく。
▼Servicenowとの提携
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Fortune500企業の80%以上で採用されている社内ITサービスマネジメントのServicenowがHedera Hashgraphの活用を発表。
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このように、世界中の大企業へクラウドサービスを提供しているSaaS企業がHederaのような分散型台帳技術プラットフォームを活用することで、間接的に各大企業の部分的データがHedera Hashgraph上へ接続され保管されていく。
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他のユースケースはこのURLから参照可能。
▼中央銀行向けCBDCインフラ開発で米EMTECHと提携
Hederaの分散型台帳技術とEMTECHのCBDCソリューションを組み合わせ、各国の中央銀行向けに高速・安全かつエネルギー効率に優れたCBDCソリューションの開発を目指す
EMTECHについて;
・米ニューヨークに拠点を置くEMTECHは、2019年に設立。金融包摂および金融レジリエンスの要求に応える、現代的な中央銀行ソリューション構築を目指すフィンテック企業。
・EMTECHの提携先としては、Hederaに加え、国連が支援するNZIA、米マイクロソフト、IBM、また最近ではBank of Ghana(ガーナ銀行)、Central Bank of the Bahamas(バハマ中央銀行)、WiPay Caribbeanなどがある。
▼EMTECH、Rippleらによる「Digital Dollar Project」
上掲のEMTECH、Rippleらによるデジタルドルプロジェクトが2022年9月に始動しており、ここでもHederaが活用されているのかは気になるところ。
▼最後に
今回紹介したHederaは他のDLTやBlockchainと共存し補完しあうことでお互いの分散型台帳技術の価値を向上させることを可能とする。
今後進展するデータ化社会において、あらゆるシーンでコンテンツや商取引データのタイムスタンプは正確なものを求められ、それを実現する手段の一つがHedera Hashgraphである。多くの大企業がプライベートチェーンとして活用しているIBMのHyperledeger FabricとHederaコンセンサスサービスの連携も既に実現している。EMTECHとの連携によるCBDC開発も進んでおり、今後もHederaと連携する企業やサービスの動向が気になる。
以上
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